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DEVDFRE$Hインタビュー : 「どっちの側にもいたいし、いたくない感じ」。

COLUMN

 

DEVDFRE$H : $iva / KAMU¥

 

RIFF CULT : ZORNの「All My Homies」のアレンジ・ビデオを2019年8月に公開していますよね。この歌詞はおふたりの人物像を考えていくにあたって非常に興味深いものでした。この歌詞を振り返りながらいくつかお伺いさせてください。

 

<KAMU¥>

見慣れない人達と街並み / 今までと違う1人足並み

13歳葛飾四ツ木  / 北生まれの俺は他所者だし

守られる気なんてさらさら無い / どこに居ても何も変わりゃしない

何を叫んでも満たされない / まだ生きたい理由が見つからない

でも同じような眼の街のガキ / 開けてくれてた裏口の鍵

家族は居ないがどうにかなる / 信じてくれたRockStarになる

二つ目の地元の葛飾区 / あの街と痛み背に歩き出す

今は生きる意味気づけそうで / また滑ろう渋江公園

 

 

RIFF CULT : 歌詞を読むと、お引越しをされていますよね?ご出身はどちらですか?

 

KAMU¥ : 生まれは北海道の札幌で、小学校を卒業してすぐに葛飾の四ツ木に引っ越しました。

 

RIFF CULT : どんな事情があったのですか?

 

KAMU¥ : 父親の会社が倒産して負債が3億くらいあって、子供ながらに「これはマズイぞ」と感じていました。ある時親父から号令が掛かって、家族全員が集められたんですけど、「とりあえず、お父さん明日からいなくなるから!」という宣言を受けたんですね。混乱しつつもどこか出張にいくのかなと思ったんですけど、母親が「本当の事言ったほうがいんじゃない?」と怒り出して。実際は会社が倒産してしまったという報告だったんです。一家解散宣言……。

 

KAMU¥

 

RIFF CULT : お母さんはどうされていたんですか?

 

KAMU¥ : 母親はまいってしまって、実家に帰っていたんですよ。それが、葛飾の四ツ木。小学校を卒業するまでは、札幌で生活して、中学校入学のタイミングで、母親の実家に移ったという感じですね。その頃からどこかで音楽やりたいなって思っていて、東京ならチャンスも多そうだし、兄貴も大学進学で上京する予定だったので、葛飾に行こうと決めた感じですね。

 

RIFF CULT : 北海道にいた頃の、何か強烈に記憶に残っている思い出はありますか?

 

KAMU¥ : めちゃくちゃありますよ。特に強烈だったのが、住んでいたマンションが8階にあったんですけど、エレベーターに乗り込んだ時に借金取りのにいちゃん達が一緒に乗り込んできたんですよ。僕のことは知らなかったと思うんですが、エレベーターの中で「8階がアイツの家ですね」みたいな会話が聞こえてきたんです。「やべえ、俺殺されるんじゃねえか」って思ってビクビクしていたら、「僕、家は何階?」と聞かれて、咄嗟に「4階です!」と言って、非常階段に逃げました (笑)

 

RIFF CULT : それは強烈ですね……(笑) 小学校から中学生に進学するあたりの年齢だと、環境が変わる事に対して大きな不安があったと思いますが、札幌には愛着みたいなものはなかったんですか?

 

KAMU¥ : もちろんありますよ。音楽やろうって思う前は、スキーでオリンピック出てやろうと思ってたくらいなんで。友達もいたしね。でも、一家解散になって、借金もあって…… ある意味、自分が憧れていたラッパーになったほうが面白いんじゃないかと思ったんですよね。小学3年生の時に、兄貴にエミネムの自伝映画『8 Mile』を観させてもらって。なんというか、貧乏からの逆転みたいな、暗い過去があったほうが、ラッパーに活かせるんじゃないかというようなポジティヴな感覚があった気がしますね。大きな不安はなかったですよ。

 

 

 

RIFF CULT : 明るい性格だったんですね。

 

KAMU¥ : 自分も明るいヤツだと思っていたんですけど、札幌に帰った時、ばあちゃんに「俺ってどんな子供だった?」って聞くと、「あんた全然しゃべらなかったし、情緒不安定だったよ」って言われて驚きましたね。友達にも同じ事聞いたんですが、「おまえ、めっちゃ暗いヤツだったよ」って言われて (笑) 自分の中のイメージと、見られていたイメージは違ったみたいですね。

 

RIFF CULT : $ivaさんの地元はどちらですか?

 

$iva : 大分です。20歳くらいまでいて、そこから上京しましたね。

 

RIFF CULT : きっかけはなんだったんですか?

 

$iva : 地元でもヒップホップのイベントとか出ていたんですけど、そこでやり続けていく事に少し不安があったというか。続けていく上で地元に居続ける事が言い訳みたいなものになってしまうんじゃないかという気持ちがあったし、どこかに出てみたいというような気持ちがあったんですよね。地元には友達もたくさんいるし、居心地が良かったけど。もうひとつきっかけと言えば、おばあちゃんが死んでしまった事も影響していますね。

 

$iva

 

RIFF CULT : 歌詞をみてみると、「家族もバラバラ」、「実家もねえ」みたいなフレーズであったり、Mobb Deepの名前も出てきますが、大分で過ごした時期の思い出なのでしょうか?

 

 

<$iva>

空き缶落っこちたらタイマン / 無免で廃車にしたCIMA

ギャルのキティッパ / 月2回の面会 保護観察

望んでなくても皆んな大人になる / この街の話 俺達の話

友だちの姉ちゃんがビル飛び降りたり / 必要なMoney 不確かな愛

車で拉致 遊び 理由なんかない

Mobb Deepのinst 見様見真似Rapした / 大人はDon’t give a damn

Overdoseで動けなくなって蹴った / 初めてのShowcase今も覚えてるぜ

家族もバラバラ 実家もねえけど / 全部意味があったって実感してる

殴られるよりも愛が痛え / 今のお前とも家族になりてえ

 

 

$iva : どうなんだろう。音楽を聴き始めたきっかけは、親がやっていたバンドですかね。その影響で洋楽には幼い頃から馴染みがありましたね。3つ上の兄貴もバンドをやっていて、兄貴が持っていたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのCDとか聴いてからディグりまくって、Rage Against the Machineにたどり着きました。確か、その時ゲットしたRage Against the Machineのポスターに、Kダブシャインがコメントを書いていて、どんな人なんだろうと興味を持って聴いたら完全にハマりましたね。そこからCD300枚くらい万引きして、いろいろ聴き漁りましたね。

 

RIFF CULT : (笑)

 

$iva : Nasのポスターとか、もうとにかくめちゃくちゃ万引きしてましたね、万引き人生 (笑) 中学生までにやめたし、今はもちろんやんないけど (笑)

 

RIFF CULT : ディグり方はあれですけど、好奇心凄まじいですね。その時代の事もけっこう歌詞になっていますよね。

 

$iva : そうそう、さっきの歌詞の中に「無免で廃車にしたCIMA」っていうフレーズがあるんですけど、これも実話。どっかの半グレに車で突っ込んじゃった事があって。その半グレが「警察にいくか、100万払うか」みたいに脅してきたんですよ。車を貸してくれた先輩も同じ条件突きつけられて、「うわ、ふたりで200万かよ?!」と焦りましたね。その時17歳だったんですけど、半グレに親を呼んでこいと怒鳴られて、最悪な事に親が現場にやってきたんですが、「チンピラに搾取されるくらいなら警察にいくぞ」って激昂しちゃって……。その時、半グレと俺らで一緒に親父を止めて (笑) 落ち着いてくれよって、半グレと連携して、変なチーム感出たのは後々振り返れば、面白かったですね。それで一旦は払ったんですけど、その先輩が後日その半グレを見つけてしばいて、キッチリ回収して車も新しいシーマに変わっていました (笑)

 

RIFF CULT : 先輩、頭がいい。

 

$iva : そういう土地だったんですよ (笑)

 

RIFF CULT : 僕も田舎出身ですけど、田舎は不良が強い。

 

$iva : そうなんですよね。もう、不良になるか、勉強しまくるかしか選択肢がない。それが上京したきっかけのひとつでもありますね。自分が不良として、将来を考えた時にどうなんだろうという一抹の不安はありましたね。不良としてのスキルが使えない場所にいったら、俺どうなるのかなという事にも興味があったね。

 

KAMU¥ : 仮面ライダーみたいでかっこいい。

 

RIFF CULT : ガッツありますよね。歌詞は紛れもない本当の話なんですね。

 

$iva : まあ、思い出というか、なんというか……(笑)

 

 

RIFF CULT : KAMU¥さんは上京された後、二つ目の地元として葛飾での思い出を歌詞に綴っていますよね。この時の話は中学の頃の話ですか?

 

KAMU¥ : そうですね、中学生。四ツ木の同級生との思い出です。

 

RIFF CULT : その当時の仲間達と一緒に音楽をやっていたんですか?

 

KAMU¥ : そうそう、初めてバンド組んだのも、その中学の仲間です。何をするにも一緒にいましたね。

 

RIFF CULT : どんなバンドだったんですか?

 

KAMU¥ : パンクバンドでしたね。Sex Pistolsのカバーなんかをやっていました。でも、パンクの知識がまったくなくて。俺は万引きしなかったタイプの人間だから、友達が万引きしてきたCDをMDにしてディグってました (笑)

 

$iva : (笑)

 

KAMU¥ : 周りも家庭環境が良くない人が多かったですね。まあ、どこにでもある話だと思うんですけど。葛飾もお金ない街だし。あ、この時も強烈な印象に残っている思い出があるんですよ。当時の友達が住んでいた一軒家があったんですが、ある日いきなりそいつの親戚に乗っ取られていたんですよ。スケートして帰ったら、「家が乗っ取られてる!」みたいな。そいつ、ヤクザだった親父が死んで、母親と兄弟で住んでいたんだけど、もう母親もどこいったか分からないカオスな状況になっていて。とりあえず、家を取り戻す為にそいつは帰宅しようとしたんですけど、その親戚にボコボコにされちゃって……(笑) なんとか家は取り戻す事が出来て、俺らの溜まり場になっていきました。取り戻したのはいいんですけど、その家もけっこうめちゃくちゃで、玄関に猫のウンコとかめちゃくちゃ落ちていて (笑) 母親もうるさいし、いつも裏口の窓から家に侵入していました。それが「All My Homies」の歌詞にある「開けてくれてた裏口の鍵」というフレーズになってる。裏口の鍵を開けていてくれて、いつでも遊びに来ていいよみたいな。学校行かずにそこで遊んでいたね。

 

RIFF CULT : 改めて、初めて出会ったヒップホップのアーティスト、またはヒップホップをやりたいと思ったきっかけのアーティストは?

 

$iva : Kダブシャインですね。あの感じ、歌っぽくない歌い方というか。ものすごく憧れていました。

 

 

KAMU¥ : お金が無かったから、ほとんど人から借りたりして、いろんなアーティストには出会いましたね。その中でも2Pacとエミネムは衝撃的でしたね。兄貴が『8 Mile』のDVDを持っていて、「お前これ観ちゃダメだぞ、大人のやつだから!」って言われて隠されてた。でもそう言われたら、観ちゃうじゃないですか。それでヒップホップ良いなってなりました。それはよく覚えていますね。

 

$iva : 虐待されてた友達の母親が『8 Mile』のポスターを家に飾っていたな。なんかそれが強烈で、最初観るまでに勇気が必要だった記憶がある。

 

KAMU¥ : 初めてセックスをみたのも『8 Mile』だわ(笑)

 

$iva : (笑) 何かを変えたいっていう人が観るべき作品ではあるよね。

 

 

RIFF CULT : そんなふたりの出会い、DEVDFRE$Hが始まったきっかけはなんですか?

 

KAMU¥ : 3年前くらい前かな? 初めて会ったのって。

 

$iva : 渋谷のTSUTAYA前で出会ったんですよ、九州での大地震を受けて、募金活動する為に渋谷でサイファーしていたんだよね。それで聴いてよかったら投げ銭してくれよみたいな感じ。そこにKAMU¥が来た。

 

KAMU¥ : バンド練習の帰りだったんだよ。「お、なんかラップしてる人がいるぞ、あの人うまいな」と思ったのが$ivaくん。それで勢いでセッションしたくて参加した(笑) その時に俺が「あしたもライブがあるんだぜ」みたいにラップしたら、$ivaくんが「俺も明日ライブなんだ」って返してきて。「立川でライブだぜ」って返したら、「あれ俺も立川でライブだぜ」ってラップで返してきて。次の日対バンだったっていう (笑)

 

RIFF CULT : それが初対面?

 

$iva : それが初対面 (笑) 次の日対バン (笑)

 

RIFF CULT : 運命的すぎる……。

 

$iva : それから対バンして、もっと仲良くなって、お互いのバンドに客演で参加してフリースタイルする、という機会が増えていきましたね。

 

KAMU¥ : 対バンする機会多かったもんね。

 

$iva : そういうのを続けていく中で、「もうラップやるか!」ってなって、DEVDFRE$Hが始まった感じですね。

 

 

KAMU¥ : $ivaくんがホラー映画が好きで、Ho99o9とかGHOSTEMANEとか、そういうラッパーを教えてもらった時にラップもスクリームとかしていいんだみたいな発見がありましたね。ニューメタルとかラップコアとか。それこそRage Against the Machineもそうだけど、バンドでラップしてる人はけっこういても、ヒップホップのジャンルでロックをやってる人ってそんなにいないなって思っていたんですよね。海外にはいるんでしょうけど、うちらの周りにはいなかった。それでやってみようかなと思ったかな。

 

RIFF CULT : GHOSTEMANEとか、$uicideboy$とかそういうのに影響を受けて、DEVDFRE$Hが始まったような感じなんですね。

 

$iva : ひとつきっかけにはなっていますね。

 

RIFF CULT : 2019年4月にリリースしたEP『死了新鮮』もダークなトラップですよね。

 

KAMU¥ : そうですね。このEPのトラックは、あちこち拾ってきたフリーのトラックにラップをのせてみた感じ。とりあえず、どんな感じになるかやってみるかっつって。

 

RIFF CULT : こういうダークなトラップで、日本語のせてやってる人いなかったですよね。

 

KAMU¥ : 確かに当時はいなかったと思いますね。後から知ったのだと、Jin Doggさんとか、最近も少しずつ増えているイメージがありますね。

 

 

RIFF CULT : リリックはどんな風に書いているんですか?

 

KAMU¥ : 「All My Homies」の歌詞を制作した時は、比喩表現はなるべく使わずにストレートな感じを意識しましたね。DEVDFRE$Hのリリックに関しては、自分の気分をぐっと沈めた状態で書くようにして、比喩表現も割と使うように意識していますね。ぱっと読んだだけでは理解できないような、深読みさせられるようなもの。

 

RIFF CULT : おふたりのパートがしっかり分かれていながら、それぞれに個性もあり、スタンダードな交わりがない感じが面白いですよね。このEPリリース後のシングルも興味深いものばかりです。Marilyn Mansonの「This Is The New Shit」でラップしてみようと思ったきっかけはあるんですか?

 

KAMU¥ : あれは確か、$ivaくんが拾ってきたトラックにあわせて、マンソンのリリックを乗せてみたらめちゃくちゃフィットしたので、それをきっかけに作った感じですよね。ふたりともMarilyn Mansonは好きで聴いていたってのもありました。

 

RIFF CULT : これまで自分が作った歌詞の中で、気にいっているフレーズはありますか?

 

KAMU¥ : まだリリースしてない曲なんですけど……。hey siri、メモひらいて (笑)

 

$iva : 『死了新鮮』に入っている曲なんだけど、「ぬるいコーラ床に投げて、ソファーに沈んでおやすみ」みたいな。こういうの好きなんですよね。それ、実際に家でやったら、どうなるんだろうなみたいなね。それでいて、実際にやったことあるようなこと。そういうのをどう聴かせるか、そういうところを意識して書いていますね。

 

KAMU¥ : 「#000000 」という楽曲のフレーズなんですが、「みそこなった、それもいい / 仲間達とここにいる / きかれてるよ、それがいい / 君の人生どれがいい?」ですね。 割と自分の本心が出ているというか。未発表曲だと、「いいことがないから死んじゃうっていうヤツらが旨そうな飯を喰う」っていうリリックは好きですね。

 

 

RIFF CULT : いいですね。未発表曲、とても聴きたいです。

 

KAMU¥ : リリースする予定も近くあるんで、楽しみに待っていてもらいたいですね。一緒にやっているトラックメイカーが次作のトラック作ってくれていて、ミックスもお願いしています。Marilyn Mansonの曲も組み直して、サンプリングも新しくしてますよ。

 

RIFF CULT : DEVDFRE$Hは、普段ヒップホップ聴かないようなロックリスナーにもアプローチ出来るポテンシャルを感じるのですが、どんな音楽が好きな人達に聴いてほしいですか?

 

$iva : DEFTONESですかね。なんか、ああいう感じ。雰囲気的にはね、そういうのが好きなんですよね、僕らは。

 

KAMU¥ : そうだね。トラップ好きにオススメというよりは、90’のブーンバップが好きな人にも喰らわせる事ができると思う。僕らは亜種なんで。ヒップホップ側からもバンド側からも。どっちにも居られる。

 

$iva : FREESTYLE OUTRO’とか、あのイベントの雰囲気が理想ですね。両方あって当たり前なはずなのに、きっちり良い感じで分かれている。

 

KAMU¥ : どっちの側にもいたいし、いたくない感じ。アウェイが好きなんですよね。ライブハウスでやれば、ヒップホップ的な感じでアウェイだし。クラブでやったら、ライブハウス感あるから、アウェイだし。それが燃えますね。それでみんながモッシュしたり、良い反応があれば、めちゃくちゃ嬉しいですね。

 

 

 

DEVDFRE$H : $iva / KAMU¥

 

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