スポンサーリンク

ポストハードコア界の最重要アクト、We Came As Romansを知る。

COLUMN

Coldrain主催のBLARE FESTで再来日を果たしたWe Came As Romans。

ポストハードコアシーンを語る上では外すことの出来ないバンドの1つです。

世界中で人気を集める彼らですが、

一昨年、クリーンボーカルを担当するKyle Pavoneが急逝するという悲劇に見舞われました。

一時の沈黙を経て、バンドは後任を迎えることなく活動を続けることを宣言し、Kyleに捧げたであろう新曲「Carry the Weight」「From the First Note」の2曲を同時公開しました。

彼の訃報については散々色んな人が書いた思いますが、再来日を果たしたこのタイミングで改めて記事にしたいと思います。

ミシガン出身のポストハードコア〜メタルコアバンドのWe Came As Romans(以下WCAR)は2006年、前身バンドであったThis Emergencyが改名したことで誕生しました。

結成当初はボーカルがかなり流動的で、フロントマンを務めるDave Stephensはギターやキーボードなど、バンドの編成に合わせて担当が変わっていました。

クリーンとスクリームというツインボーカル体制はChiris Mooreの加入によって明確となり、これをきっかけとしてデビューEPのリリースを行いました。

2008年にChrisがバンドを去ると、新たにKyle Pavoneが加入。

WCARは活動をさらに加速させ、数多くのバンド達を手掛けた名プロデューサーであるJoey Sturgisを迎えて『Dreams(EP)』をリリース。

We Came As Romans: Dreams (Lyrics)

Kyleの魅惑的な歌唱とDaveのタフな咆哮のバランスが非常に良く、煌びやかで幻想的なポストハードコアサウンドは数多くのリスナーを虜にしました。

ここ日本においてもごく少数ですが、通販サイトでフィジカル盤が販売されており、筆者はEmarosaのデビューEPやUnderoathと共に擦り切れるほど聴いたのを今でも覚えています。

この反響をきっかけに、エモからスクリーモバンドまでを幅広くリリースしているEqual Vision Recordsとの契約に成功。

デビューEPの反響も束の間、1年余りでデビューフルアルバムとなる『To Plant A Seed』をリリース。

We Came As Romans "To Move On Is To Grow" (Official Music Video)

幻想的なシンセサイザーを大々的にフィーチャーし、KyleとDaveが美麗なクリーンとスクリームを交互に掛け合うスタイルは一層磨きがかかり、Billboardインディーチャート25位にランクインするなど大きな反響を持ってリスナーに迎え入れられました。

その後WCARは、A Skylit DriveやOf Mice & Men、Silversteinといったスクリーモシーンの重要バンド達と数々のツアーをこなしながらライブパフォーマンスを研ぎ澄ませ、着実に知名度を上げていきます。

2011年6月にはWarped Tourへの参戦も果たし、最高のタイミングで2ndアルバムとなる『Understanding What We’ve Grown to Be』をリリース。

We Came As Romans – Understanding What We've Grown To Be

プロデューサーには前作、前々作と同様にJoey Sturgisを迎え、カバーアートも前作と同様にPaul Romanoという人物が手掛けています。

ギタリストのJoshuaやベーシストAndrewがビジュアルイメージやコンセプトを擦り合わせながら作成しており、独特なアートワークも彼らの世界観を語る上で外せないイメージとなっていきます。

結果的にこの作品はBillboardチャート20位にランクイン、その人気を確実なものにする決定的な作品になりました。

2012年にはヨーロッパツアー、そしてここ日本においても”Scream Out Fest”で来日を果たし、ワールドワイドに駆け回っていきます。

2013年になると、WCARはツアーやライブと並行して新曲のレコーディングを行なっていきます。

プロデューサーとしてJohn Feldmanを迎え、バンドとしても新たな挑戦を試みました。

DaveとKyleによる掛け合いを武器にしていたWCARですが、Kyleを全面に押し出したキャッチーな曲や、逆にDaveのスクリームをメインに据えたヘヴィーな曲、更にはDaveとKyle共にクリーンで掛け合うパートを設けるなど、今までの持ち味を活かしつつも意欲的な挑戦を詰め込んだ作品を制作。

WCARとしての新たな挑戦を詰め込んだ意欲作となった『Tracing Back Roots』はキャリア史上最高のビルボード8位にランクイン、名実ともにバンドは大成功を収めました。

WE CAME AS ROMANS – Tracing Back Roots (OFFICIAL LYRIC VIDEO)
We Came As Romans "Hope" (Official Music Video)

しかし、この成功がきっかけとなり、WCARは自身の方向性を見失っていきます。

リスナーの大きな期待とプレッシャーがバンドを容赦なく襲い、多忙なスケジュールと重なり徐々に疲弊していきました。

実際にバンドは“成功してしまったことで自分達の音楽を見失った”と吐露しています。

そんな葛藤の中でバンドは実に40曲もの楽曲を制作し、プロデューサーにDavid Bendethを迎えて2015年にセルフタイトル作『We Came As Romans』をリリース。

We Came As Romans – Regenerate
We Came As Romans "Memories" (Official Music Video)

この作品もビルボードで11位を記録、ワープドツアーへも参戦もするなど全く衰えない人気を見せましたが、バンドにとっては最も難産になったアルバムだと思います。

実際に過去作と比べてみても、セルフタイトルとしてリリースされたこの作品は今までの彼らとは違う空気感を感じ取ることが出来ます。

“コマーシャルな曲を書くことに意識が向かってしまった”とインタビューで答えていますが、それ程にバンドはプレッシャーを抱えて方向性を模索していました。

2016年には長らくバンドを支えていたドラマーEric Choiが脱退。

バンドとしての佳境を迎えた彼らは、今一度自分達の表現したい音楽にとことん向かい合うことに。

古巣であるEqual Vision Recordsを離れ、新たにSharptone Recordsと契約した彼らは、よりヘヴィーな側面を押し出した作品を制作することを決意。

2017年にリリースとなった『Cold Like War』は、過去作にあったメランコリックな側面とヘヴィネスの同居を追求した復活作に相応しい作品に。

We Came As Romans – Cold Like War (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

チャートアクションこそ前作には及びませんでしたが、彼らのネガティブな葛藤を吹き飛ばす見事な作品にとことん驚かされました。

2017年のベストアルバムには必ず入るだろう、そう自分の中で確信していた矢先に、1番聞きたくなかったニュースが飛び込ました。

ボーカルKyle Pavoneの死。

オーバードーズによる急逝でした。

ファンの期待やプレッシャーと闘い続けてきた彼らですが、復活作をリリースする傍らでKyleの心はどんどんと蝕まれていました。

本当にショックで、時が止まったような感覚がずっと続きました。

ポストハードコアシーンにおけるツインボーカルといえばDaveとKyleのコンビがすぐさま思いつく、それ程に自分にとってはアイコニックな存在。

ヘヴィーなWCARの復活にファンが歓喜する中、苦しみ続けていたKyleを想うと涙が止まらなくなりました。

そしてバンドの動向をただひたすら見守りました。

どんな決断を下すのか、WCARは今後どうなっていくのか。

バンドは一時の沈黙を経て、新ボーカルを迎えることなくWCARとしての活動を続けることをアナウンス。

そして2019年9月29日、新曲となる“Carry the Weight”と“From the First Note”を同時リリース。

今回は後者の歌詞を拙い英語力ですが、日本語訳してみたので是非とも読んでみてほしいです。

We Came As Romans – From The First Note (Official Music Video)

Take me back

(連れ戻してくれ)

I wanna remember

(覚えておきたいんだ)

I wanna go back to the days, undiscovered

(あの頃にまた戻りたいよ)

Our hearts held inside our hands, and the world in front of us

(俺たちの心も、目の前に広がる世界も、自身の掌の中にあった)

Because I wanna remember

(覚えていたいんだ)

The way that we lived and who we were

I wanna remember who we are

(俺たちの糧が何だったのか、俺たち自身は何なのか)

I won’t forget the memories, I know

(俺たちは決して忘れない)

You’ll always be a part of me, and

Every way you changed me still shines through

(君はいつだって俺の一部で、俺を変えてくれた君は今も輝き続けている)

You’re the light that I follow home

(君は俺を導いてくれる光だ)

Every way you changed me still shines through

(俺を変えてくれた君は今も輝き続けている)

I can’t replace you

(誰も代わりなんていやしない)

I can’t replace you

(誰も代わりなんていやしない)

一部略

All the words you sang

(君が歌ったすべての言葉)

We sing them back for you

(俺たちが君の為に歌うよ)

From the first note

(最初のその瞬間から、)

And all the words you sang

(君が歌った全ての言葉を)

We sing them back for you

(俺たちが君の為に歌うよ)

In every step we take

(俺たちはどんな時だって)

We carry on for you

(君の為に続けるよ)

一部略

I won’t forget the memories, I know

(おれは絶対に忘れない)

You’ll always be a part of me, I know

(君はいつだって俺の一部なんだ)

 

メンバーのKyleに対するリスペクトが感じられるその言葉に、ただ圧倒されるしかありませんでした。

Kyle Pavoneはメンバーだけでなく、全てのファンの心に残り続けることでしょう。

WCARはこれからも突き進む。

Kyle Pavoneに追悼の意を、そして活動を続ける選択をしたWe Came As Romansに敬意を表し、ここに記します。

by Kento Maruyama

コメント

タイトルとURLをコピーしました